小麦の約15%を占める小麦ブランはフスマとも呼ばれ、豊富な栄養素を含んでいます。ミネラル、ビタミン(B1、B2、E)を多く含み、食物繊維の含有量も高く穀物の中では最も多い食材です(下表)。欧米ではその健康効果から、小麦ブランを配合したパンの消費が増えています。日本でも朝食などでシリアルの原料として活用されているほか、パンやクッキーなどにも使われるようになりました。特に多いのが不溶性の食物繊維です。小麦ブランを積極的に取り入れることは、食物繊維不足の解消につながります。 小麦ブランの現在報告されている健康機能について表に示します。
排便・便性の改善効果
水分を吸って膨らんだ小麦ブランは腸に刺激を与え、腸のぜん動運動を活発にします。大腸内を早く通過することで、腸内毒素や腐敗産物の産生を抑え、速やかに排泄します。小麦ブランを配合したパンやシリアルの摂取で排便回数が顕著に増加したという結果が報告されています。
腸疾患の予防効果
小麦ブランは排便量を増やす結果、大腸内の圧力は低下して大腸の腸憩室症を予防し、症状を緩和する作用があることが報告されています。その効果は水溶性食物繊維よりも、小麦ブランに代表される不溶性食物繊維の摂取の方が有効であることもわかっています。
腸内細菌叢(腸内フローラ)改善作用
日本人を対象に、小麦ブランを配合した食品を4週間摂取した結果、有用菌の酪酸産生菌が増えることが報告されました。また、糞便中の短鎖脂肪酸が増え、腐敗産物が減ることも確かめられました。これは、小麦ブラン中のアラビノキシランという食物繊維成分が有用菌に利用されたためです。
腸のバリア効果(腸粘膜機能の調整)
腸壁は嵩増しした小麦ブランの刺激を受けると、腸の細胞から粘液物質の「ムチン」の分泌が促進されます。ムチンは、細菌などの侵入を防ぎ、腸のバリア機能を高める効果をもたらします。
免疫力活性効果
大腸では腸内細菌のバランスが免疫機能を調節するのに重要な役割を果たします。小麦ブランの場合、アラビノキシランの機能が、免疫力を強化する担い手となります。